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朝、エレベーターを降りたところで、その人の笑い声が聞こえてきて足が重くなる。席に着く前から、今日は何回話しかけられるだろうと考えている。休みの日でも、ふとした拍子にその人の顔が浮かんでくる。
苦手な人を好きになる必要はありません。気にしないようにがんばる必要もありません。毎日の中で、その人と関わる時間を少しずつ減らす。それなら明日からでも始められます。
苦手な人と毎日顔を合わせるのが、しんどい理由
職場に一人くらい苦手な人がいるのは、珍しいことではありません。年齢も育ちも考え方も違う人が、同じ部屋で同じ仕事をしているのですから、合わない相手がいて当然です。
それでもこたえるのは、会い方を自分で選べないからです。友達の中に合わない人がいても、会う回数は自分で決められます。職場はそうはいきません。月曜から金曜まで同じフロアにいて、席を立っても行ける先は給湯室かトイレくらい。
毎日会う、長い時間そばにいる、距離を自分で決められない。この3つが重なると、一つひとつは小さな出来事でも疲れはたまります。「私の心が狭いのかな」と自分を責めなくていい。しんどさの多くは、性格より環境から来ています。
もう一つ、知っておくと楽になることがあります。「気にしない」と言い聞かせるほど、その人の足音や声に耳がいってしまうことがある。気にしないことを目標にするより、関わる時間を減らすほうが先です。 気持ちは後からついてきます。
「苦手」の中身を分ける
同じ「苦手」でも、何が引っかかっているかで、変えやすいことは違います。いちばん近い行を1つ選んでください。
| 苦手の中身 | よくある場面 | 変えやすいこと |
|---|---|---|
| 言い方がきつい | 人前で「前も言ったよね」 | 口頭を減らし、文字に寄せる |
| 進め方が合わない | 資料に細かく口を出される | 「好み」と「決まり」を分ける |
| 機嫌に左右される | 話す前に顔色をうかがう | 決まった時間に用件だけ伝える |
| 下に見られている | 自分にだけ命令口調 | 日付つきでメモ。続くなら相談 |
| 理由なく合わない | 近くにいるだけで肩に力が入る | 理由を探さず、接点を減らす |
進め方が合わない相手なら、ぶつかっているのが「好み」か「決まり」かで話が変わります。資料のフォントや報告の順番が好みの話なら、合わせる必要はそれほどありません。提出の期限や承認の手順のように会社で決まっていることだけ、きちんとそろえる。それだけで、言い合いになりそうな場面はかなり減ります。
下に見られている気がして、それが続くなら、下の「ひとりで判断しなくていいとき」も読んでください。
理由がはっきりしない「合わない」は、いちばん扱いに困るかもしれません。なぜ苦手なのかを考え続けると、その人のことを考える時間がかえって増えます。理由が分からないままでも、接点は減らせます。
職場の人間関係に疲れた30代へでは、疲れを「相手」「量」「役割」「空気」に分けています。この記事は、そのうち「相手」を詳しくしたものです。連絡の多さや板挟みからも疲れが来ている気がするなら、そちらの表もあわせて見ると、どこから手をつけるか決めやすくなります。

一日のどこで会うかを書き出して、接点を減らす

苦手な人のことを考えていると、一日じゅう一緒にいるような気がしてきます。けれど書き出してみると、関わる場面は思ったより限られていることが多いものです。
スマホのメモでも手帳でもかまいません。朝から帰りまでの流れに沿って、その人と関わる場面を書いていきます。
- 朝のあいさつ、朝礼
- 会議や打ち合わせ
- 報告・確認・頼みごと
- 昼休みや休憩中の雑談
- 帰りぎわの「ちょっといい?」
書き出したら、それぞれの横に「減らせる」「形を変えられる」「変えられない」のどれかを書き込みます。
- 減らせる昼休みなど。休憩を15分ずらす、週に何日かは外で食べる
- 形を変えられる報告や確認。チャットで送り、「送っておきました」と一言だけ
- 変えられない朝礼や定例会議。「長さ」だけを短くする
言い方がきつい相手なら、文字のやりとりにするだけで、身構える場面を減らせることがあります。変えられない場面では、あいさつは目を見て「おはようございます」で十分です。会議では隣の席を避け、発言は結論から短くする。無理に場面そのものを変えようとしなくていいのです。
席替えや担当替えを上司に頼みたくなったら、この書き出しがそのまま材料になります。「〇〇さんが苦手で」と切り出すより、仕事の話として伝えます。「この確認が一日に何回もあって、作業が止まりがちです」。そのほうが、上司も動きやすくなります。
用件だけで終わらせる一言
接点を減らしても、話す場面はゼロにはなりません。残った場面を短く終えるための一言を、苦手な一人が相手の場面に絞って並べます。丁寧さはそのままで、話の長さだけを短くする言い方です。
報告するとき。結論を最初に言い、「以上です」で区切ると、相手が話を広げるすきまが小さくなります。
「A社の見積もりの件、今日中に先方へ送ります。以上です」
頼みごとをするとき。口頭だと条件があいまいになり、何度も聞き返されがちです。内容と期限をまとめて、文字で送ります。
「明日の会議資料の3ページ目、数字の確認をお願いします。木曜の12時までにお返事をいただけると助かります」
いま手が離せないとき。話しかけられるたびに作業を止めていると、その人の存在がどんどん大きくなります。断るのではなく、時間をずらします。
「いま手が離せないので、14時以降でもいいですか」
仕事の話のあとに雑談が続きそうなときは、手元の作業を理由に切り上げます。
「すみません、これだけ先に片付けます」
きつく言われたとき。その場で言い返したり言い訳を重ねたりすると、やりとりが長引きます。短く受け止めて、席に戻ってから言われたことと日時をメモしておきます。
「分かりました、確認します」
全部を一度に使わなくてかまいません。明日いちばん出番がありそうな場面の一言だけ用意しておく。それだけでも、話しかけられたときに頭が真っ白になりにくくなります。
ひとりで判断しなくていいとき
会議で一人だけ強い口調で責められる。話しかけても返事がない。自分にだけ仕事が回ってこない。こうしたことが続くなら、もう「苦手」の範囲だけの話ではないかもしれません。ハラスメントにあたるかどうかを、自分で決める必要はありません。迷っている段階でも、相談してかまいません。
社内と社外の相談先の選び方は、職場の人間関係に疲れた30代への「ひとりで判断しなくていいとき」にまとめています。相談の前に残しておくメモの書き方も、同じ章にあります。
その人のことを考えると眠れない、出勤前になると体調が崩れる。そんな日が続いているなら、関わり方の工夫より先に、休むことと誰かに話すことを優先してください。気になる体の不調があるときは、医療機関にも相談を。家を出る前から足が止まってしまうときは、仕事に行きたくない朝にで、その朝の過ごし方を書いています。
苦手な一人というより、職場で自分だけ浮いている感じがつらいなら、職場で孤立している気がするときのほうが近い内容です。
異動や転職が頭に浮かんだら
接点を減らして、使う一言も決めた。それでも日曜の夜になるとその人の顔が浮かび、月曜の朝が重い。そんな日が続けば、「この職場でいいのかな」と考え始めるのは自然なことです。
動き方には段階があります。小さいほうから、担当や席を替えてもらう相談と異動の希望。その先に、勤務の時間や場所の見直しと、職場を移ることがあります。どこまで動くかは、接点がどのくらい減れば楽になりそうかで変わります。毎日の報告さえなくなれば大丈夫なのか、同じフロアにいるだけでつらいのか。書き出した接点のリストを見ると、見当がつきやすくなります。
職場を離れていい場面の見分け方は、前向きに離れるという選び方に書いています。離れると決めたのに言い出せずにいるなら仕事を辞めたいのに言えないときへ。
キャリアに特化したパーソナルトレーニング【POSIWILL CAREER(ポジウィルキャリア)】次の職場で何を大事にしたいか、先に整理したいときは
いまの職場のどこがつらいのか、次は何を避けたいのか。ひとりで考えていると同じところを回りがちなことを、人と話しながら整理する場もあります。POSIWILL CAREERは、求人を紹介するサービスではなく、これからの働き方を一緒に考えるキャリアの面談です。公式サイトの案内では、45分の無料体験があり、そのあとにプランの提案を受ける流れです(2026年10月時点)。提案されたプランを使うかどうかは、料金と内容を公式サイトで確かめてから決められます。この記事からのお申し込みは、20〜39歳の方が対象です。
よくある質問
明日、その人と関わる場面を1つだけ、口頭からチャットに変えてみる。そこから先は、それで変わった感じを確かめてからで間に合います。







