昼休み、隣の席の人たちの話題に入るきっかけがないまま、スマホを見ているうちに時間が過ぎる。嫌われているわけではない。仕事の話なら普通にできる。でも、話したいと思える人もいない。そんな毎日が続くと、職場にいるあいだずっと少しだけ息が浅くなります。
職場に気が合う人がいないのは、珍しいことではありません。仲良くなることを目標にしなくても、働きやすさは少しずつ変えられます。寂しさの中身を分けて、明日から使える一言と、昼休みの過ごし方を決めておきましょう。
職場に気が合う人がいないのは、珍しくない
職場は、年代も、暮らし方も、休日の過ごし方も違う人たちが、仕事のために集まっている場所です。学校のクラスや友人の集まりのように、気の合う人を選んで一緒にいるわけではありません。その中で気の合う人が見つかれば運がいいほうで、いないほうがむしろ普通です。
厚生労働省の委託事業のサイト「LO活-think」のケーススタディ「人間関係がうまくいかない」にも、「気の合う人ばかりの職場があればそれに越したことはありませんが、それって現実的でしょうか?」という問いかけがあります。働く人の悩みとして、よくある形だということです。
それでも寂しいと感じるのは、自然なことです。1日の多くを過ごす場所で、気を抜いて話せる相手がいない。それを「気にしすぎ」と片づける必要はありません。寂しいと感じている自分を否定せずに、そのうえで、どう過ごせば楽になるかを考えていけばいい。
「気が合わない」の中身を4つに分ける

「気が合わない」と一言でいっても、話題が合わないのか、職場の空気そのものが合わないのかで、楽になる方法は変わります。いまの自分にいちばん近い行を探します。
| 種類 | よくある場面 | 無理しなくていいこと | やってみること |
|---|---|---|---|
| 話題が合わない | 休憩中の話題が、知らないドラマや趣味、家族の行事の話ばかり | 話題についていくために、興味のない番組や趣味を覚えること | 仕事の話や季節の話など、誰とでも共有できる話題で短く話す |
| 年代・立場が違う | 周りが自分よりずっと年上、または年下ばかり。家庭の事情で生活の時間帯が違う人が多い | 年代や立場の違う相手と、友達のような関係になろうとすること | 相手の経験や得意なことを、仕事の範囲で聞いてみる |
| 職場の雰囲気が合わない | 静かすぎて雑談がない。逆に、にぎやかで飲み会が多い | 雰囲気に合わせて、自分の性格まで変えようとすること | 雰囲気とは別に、自分が過ごしやすい時間(昼休み・帰り道)を確保する |
| 前の職場と比べている | 異動や転職のあと。前の職場には話せる人がいた | すぐに前と同じ関係を作ろうと焦ること | 関係ができるまでの時間を、数か月単位で見ておく |
いくつか重なることもあります。たとえば、転職してきたばかりで(前の職場と比べている)、周りがみんな年上(年代・立場が違う)という重なり方はよくあります。その場合は、時間で変わる部分と、時間がたっても変わりにくい部分があると分かるだけでも、焦りは少し落ち着きます。
一方で、あいさつを返されない、自分だけ連絡や誘いから外されている、という状態なら、気が合う合わないとは別の話です。その場合は職場で孤立している気がするときで、割り切っていい孤立と、相談したほうがいい孤立の分け方を読んでください。
気が合う人がいないのは、コミュニケーションの上手下手だけで決まるものではありません。 職場の人数、年代の構成、仕事の分け方。自分では選べない条件で、気の合う人がいるかどうかは大きく変わります。
仲良くならなくても、仕事が回る関係はつくれる
職場で目指すのは「友達」ではなく、頼みごとをしやすく、されやすい関係です。困ったときに「ちょっといいですか」と声をかけられて、相手からも声がかかる。それだけで、職場の居心地はかなり変わります。
その関係は、長い雑談をしなくても作れます。役に立つのは、仕事の流れの中に入れられる短い一言です。
お礼を言うときは、何に助かったのかを具体的に添えます。「ありがとうございます」だけより、相手の仕事をちゃんと見ていたことが伝わります。
「昨日の〇〇の表、見やすく直してくださってありがとうございます。そのまま会議で使えました」
分からないことは、仕事の質問として聞きます。質問は、話しかけるきっかけとしていちばん自然です。
「〇〇の申請、前はどうしていましたか。やり方を教えてもらえると助かります」
相手の得意なことを聞くのも、接点になります。年代や立場が違う相手ほど、話題を探すより相手の経験を頼るほうが話しやすいこともあります。
「△△さん、この集計の組み方くわしいですよね。どうやるのがいいと思いますか」
朝のあいさつに、一言だけ足す。返事が「そうですね」で終わっても、それで十分です。
「おはようございます。今朝、急に冷えましたね」
自分が休んだ次の日は、休みのあいだのことを聞きます。
「昨日はお休みをいただいてありがとうございました。何か変わったことはありましたか」
帰りぎわは、あいさつに明日の仕事の話をつなげます。
「お先に失礼します。〇〇の件、明日の午前中に確認しておきますね」
全部を使う必要はありません。言いやすそうなものを1つ選んで、明日のどこかで一回使えば十分です。
ここで勧めないこともあります。相手に合わせるために、好きでもない話題を覚えること。行きたくない飲み会に無理して出ること。自分を変えて輪に入ろうとすると、合わない時間がそのまま増えて、かえって疲れます。一言は、自分を変えるためではなく、仕事を回しやすくするための道具として使えば足ります。
雑談に入れない時間と、昼休みの過ごし方
午後3時ごろ、近くの席で週末の話が盛り上がり始める。入るタイミングが分からないまま、画面を見続けてしまう。そんな時間は、気まずく感じやすいものです。
雑談は、話す側でいなくてもかまいません。聞いて、うなずいて、ときどき笑う。それで雑談の場にはいられます。話を振られたら、短く答えるだけで十分です。「へえ、そうなんですね」「私は家でゆっくりしてました」くらいで、場は止まりません。気の利いた返しを考えなくても大丈夫です。
昼休みは、迷う時間をなくすと楽になります。毎日「誰かと食べたほうがいいかな」「今日は声をかけられるかな」と考えていると、休憩なのに気が休まりません。
昼休みをどう過ごすかは、自分で先に決めてしまっていい。 たとえば、週のうち何日かは「一人で過ごす日」と決めて、外を少し歩く、読みかけの本を開く、席で目を閉じて休む。決めてあれば、一人でいるのは「ひとりぼっちになった」のではなく「自分で選んだ過ごし方」になります。周りから声がかかった日に一緒に行くかどうかも、その日の気分で選べます。
一人でいることを、気まずく思う必要はありません。昼休みを一人で過ごす人は、どの職場にもいます。
気が合う合わないよりも、職場の人と関わる量そのものに疲れているなら、職場の人間関係に疲れた30代への「角を立てずに距離を取る一言」の章が役に立ちます。
話せる人は、職場の外にいてもいい
職場に「友達」を求めすぎると、合わない相手に期待しては、がっかりするのをくり返しやすくなります。話したい気持ちが、職場の中だけで行き場を探しているからです。
話せる相手は、職場の外にいてもかまいません。たとえば、こんなつながりがあります。
- 昔の友人に、短い近況を送る(返事を急がない相手でいい)
- 同じ仕事をしている人が集まる勉強会や講座に出る
- 料理や運動など、前から気になっていた習い事を始める
- 地域の催しや、図書館・公民館の講座に顔を出す
どれも、いきなり深い関係を目指さなくて大丈夫です。月に一度、仕事と関係のない話ができる場所があるだけで、生活の重心が職場だけに寄らなくなります。
仕事の外に話せる人がいると、職場では「仕事が回る関係」で足りる、と感じられるようになる人もいます。職場の人に求めるものが減れば、合わない会話に気をもむ時間も短くなります。仕事帰りの夜にふっと寂しくなる日があっても、話せる人が一人でも外にいれば、その夜の過ごし方は少し変わります。
環境を変えたくなったら
日曜の夜、明日の昼休みのことを考えて気が重くなる。寂しさが毎日つらい、仕事に行くのがしんどい日が続く。そうなってきたら、異動の希望を出す、働き方を見直すといった、環境のほうを動かす選択肢も考えていい時期です。
ただ、動く前に、表のどの種類に近いかを一度確かめておくと迷いが減ります。前の職場と比べているだけなら、時間がたつうちに関係ができてくることもあります。職場の雰囲気そのものが合わないなら、それは働く場所を選ぶときの手がかりになります。
続けるか離れるかに、正解はありません。どちらも自分を守るための選び方です。離れることを前向きに考えたいときは、ポジティブな逃げとはで、小さいほうから環境を変える順番を書いています。
気分の落ち込みが続く、眠れない日が続くといったときは、どう動くかを決める前に、誰かに相談するのが先です。 どこに話せばいいか分からないときは、悩みの種類ごとの相談先から窓口を選べます。
よくある質問
明日の朝は、あいさつに天気の一言を足すところから。職場の人間関係そのものに疲れていると感じたら、職場の人間関係に疲れた30代へで、疲れの中身から分けられます。

